lake2017 の休憩所

英語・音楽・探偵小説・SF・社会情勢等ゆるく書いていきます。

"Anthem"と「西暦2112年」


デスクトップが新しくなっていろいろ快適です。前のマシンも決して悪くはなかった(2014年型のCore i5のMac mini)のですが、CPUが6コアのCore i7でメモリも32GB積んだおかげで随分動きが軽快です。今までなかなか起動してくれなかったMac版のWordやExcelが一発で立ち上がるのには感動しました。Parallels Desktop上のWindowsも随分軽くなり、仮想マシンで作業しているのを忘れるほどです。


……と、前置きはこのくらいにして本題。今日紹介するのは洋書とCDです。


Ayn Randの作品は正直ほとんど読んでいません。日本での知名度が低いのは翻訳がなかったせいでしょう。ただ、アメリカでは相当読まれていて、聖書の次に売れているという話も聞きます。そんな私が読んだことがある彼女の作品が今日紹介する"Anthem"です。

Anthem (AmazonClassics Edition) (English Edition)
Anthem (AmazonClassics Edition) (English Edition)
AmazonClassics
2019-04-30
Kindle本

AmazonのリンクはKindle版になっていますが、ペーパーバックでも売っています。


舞台は未来、現代文明が崩壊したあとの「個」が完全に否定された世界です。代名詞"I"は忘れ去られ、自分のことを常に"We"と呼ぶ社会が舞台です。そこで主人公"Equality 7-2521"が「個人であること」を発見するお話です。


実はこの本は最近翻訳が出ています

アンセム
アンセム
Evolving
2019-06-02
Kindle本

にもかかわらず、この本を原書で読んで欲しいのは、その特異な文体のためです。その本文の大部分で複数形が使われる異様な感じは完全に日本語に移すことは難しいと思うからです。


スタイルは異様ですが、英語そのものは平易で長さは中編といっていいくらいのものなので読んでいて負担にはならないと思います。極限まで行き着いた全体主義の恐怖とそこからの逃亡の物語を楽しんでください。


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この記事にはまだ続きがあって、場所は1970年代のカナダに移ります。アルバムを3枚出したものの泣かず飛ばずの三人組のロックバンドがいました。彼らはブレイクすべく、次のアルバムの構想を練ります。当時のLPのA面すべて(だいたい20分前後)を使って組曲を書き上げます。舞台は未来、現代文明が崩壊したあと音楽が禁止された全体主義の世界が舞台です。主人公は偶然楽器(ギター)を手に入れ音楽の存在を知り、自分の生まれた世界から逃亡する羽目になります。


……似てますよね。作詞担当者が曲を書いてたあとにあまりにも似ていることに気付き、クレジットにAyn Randの名前を入れることにしました。アルバムのタイトルは"2112"(邦題「西暦2112年」)、バンドの名前はRush。この1枚で北アメリカとヨーロッパで名声を手に入れたのでした。

2112
2112
MERCURY
1997-05-06
ミュージック

この頃のRushはハードロック色がかなり強いので、うるさいのが苦手な方にはおすすめしにくいのですが、それでも名盤です。どちらかというとイギリスやヨーロッパのロックが好きな私も愛聴する数少ない北米産の一枚です。前半の組曲は歌詞をよく読んでください。Neil Peartの書く詞は深いです。特にプログレが好きで未聴の方はぜひ聴いてみてください。


というわけで、今日はここまで。